社団法人電気化学会の公益社団法人への移行についてのQ&A
公益社団法人/一般社団法人の選択
A1)メリット:一般社団法人は、登記のみで設立できる法人であり、公益社団法人は公益目的事業を行うものとして認定された法人です。言い換えれば、どのような法人であっても、一般社団法人となることができるため、公益社団法人という名称が社会的な地位を示すことになると考えます。また、預金利息の源泉所得税の免除、法人税の減免、法人への寄附者への所得税控除などという税制上のメリットも享受できます。
デメリット:公益認定は、一度受ければよいものではなく、毎年度、行政庁(電気化学会の場合、内閣府)による立ち入り検査などがあり、公益認定基準を満たしていない場合は、是正勧告や命令、公益認定の取り消し等を受けるおそれがあります。
A2)上記メリットとデメリットを検討した結果、公益社団法人となることが当学会の将来のために適切であると判断したものです。当学会は、電気化学の発展のための活動を行っており、これは広く公共の利益になっていると自負しています。そのため、公益社団法人の名称を使用して、公益活動であることをアピールすることが望ましいと考えます。また、化学関連の他の学術団体も多くが公益社団法人を目指していると聞いています。
A3)Q4(1)に示すように、当学会がこれまで行ってきた活動(事業)は、将来ともに公益認定基準上問題となる内容のものではないと考えます。なお、平成20年12月1日の公益法人に関する法律施行に伴い、監督官庁という制約はなく、公益社団法人であるために公益認定基準を満たす必要があるのみとなりました。
公益認定基準について
A4)主なものは次の通りです。
- 実施する事業の制限
公益目的事業(学術・技芸・慈善その他の公益に関する事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。)を法人の主たる目的とすることが求められています。この、学術・技芸・慈善その他の公益に関する事業は、公益認定ガイドラインの「別表」にて列挙されており、当学会は、そのうち「講座、セミナー、育成」「調査、資料収集」「表彰」の事業を行っています。
なお、公益認定ガイドラインの「別表」は、後述のHPを参照してください。 - 「経理的基礎」及び「技術的能力」を有すること
「経理的基礎」とは、次の3つの要件です。
- 財政基盤の明確化(資産、負債、財政状況が健全であること)
- 経理処理、財産管理の適正性(役員の適切な関与、適正な会計帳簿記録)
- 情報開示の適正性(外部監査、公認会計士等の関与)
「技術的能力」とは、実施する事業の人的・物的な能力が確保されていることをいいます。当学会は経理的基礎の諸要件を次のように満たしています。
- 当学会の事業は、会費および大会やセミナーの参加費等で運営されており、財政基盤は十分でないにしろ脆弱なものではありません。
- 定期的な理事会の開催、公認会計士による会計・決算指導を受けています。
- 年度の事業活動の結果である計算書類は、会誌及びホームページで開示されています。
また、技術的能力に関しては、会員はすべて電気化学に関する専門的能力を有していると考えています。
- 収支相償であること
収支相償とは、公益目的事業に係る収入が、その実施に要する適正な費用を償う額を超えないと見込まれるものであることで、言いかえれば、公益目的事業に黒字を生じることがあってはならないという意味です。ただし、この計算においては、将来の公益目的事業に使用するための積立金、公益目的に使用する資産の取得費も、実施に要する適正な費用として認められます。
当学会は、たとえば大会やセミナーの費用が参加費を上回る場合は、会員からの会費をもって費用に充当しますので、事業は黒字となることは想定していません。なお、支部、専門委員会、研究技術懇談会の個別単位では黒字になる場合もありますが、当学会全体で公益目的事業ごとの費用額をもって判断しますので、問題ありません。
- 公益目的事業比率が50%以上であること
公益目的事業費、すなわち公益目的事業に係る費用が、公益目的事業費・公益目的事業以外の事業費・管理費の合計に対して、50%以上である必要があります。ただし、管理費のうち、事業に関連して発生する事業管理費は事業費として計算されます。具体的には、当学会の事務局の賃借料や水道光熱費など、従前は管理費に計上していたものについても事業に関連して発生する経費として、それぞれの事業費に按分したうえで公益目的事業費率の計算を行います。
当学会は、従前の会計方法、すなわち管理費を按分する前の金額において、すでに公益目的事業費率が50%を超えていますので、今後も問題ありません。
- 遊休財産の保有制限
遊休財産とは、公益目的事業及び公益目的事業に必要なその他の活動に使うことが具体的に定まっていない財産で、かつ、将来にわたり使用が見込まれない財産のことをいいます。この遊休財産額の保有上限は、1年分の公益目的事業費相当額です。ただし、奨学基金のように、元本それ自体を使用するのではなく、利息等の果実を公益目的事業に使用する財産は、元本も遊休財産額から除外することができます。
当学会において、使用目的が決まらないままに保有している財産は存在せず、今後も予定はありません。
- 理事の構成
理事のうち、理事と特別の関係があるもの(配偶者、3親等以内の親族等)の割合が3分の1を超えてはなりません。
当学会は、大学や企業の研究者の集まりですので、理事が特定の大学や企業に所属する者、または特定の理事の親族等に偏ることはありません。 - その他
- 会員、理事、監事、職員等に特別の利益を与えないものであること
- 投機的な取引を行う事業を行わないこと
- 公益目的事業以外の事業が、過大なものでないこと
- 理事及び監事に支給する報酬、手当の基準を公表すること…等の、公益認定基準がありますが、いずれも当学会においてはクリアできるものであると考えています。
その他
A5)当学会が行っている事業は、専門委員会、研究技術懇談会を含み、原則として公益目的事業の範噂に入ると考えられますので、制約を受けることはないと考えます。従来、会員のみを対象として実施してきた事業(講演会、表彰)は、公益目的事業ではなく、共益事業とみなされますが、事業全体に占める比率は小さく、公益認定への障害にはなりません。なお、将来的には、非会員も対象とすることを検討しています。
A6)原則として、当学会全体の計算書類を作成することになりますので、支部、専門委員会、研究技術懇談会においては、本部と同様の会計科目を使用していただきます。それにあたり、支部及び専門委員会は平成20年度より、研究技術懇談会は平成21年に会計ソフトを導入しています。そのうえで、財政規模が大きい支部等については会計事務所への委託もお勧めしています。
なお、本部においては、会計合算・相殺消去の事務量が増大しますので、人件費が増えることも考えられます。しかしながら、この会計合算・相殺消去は、公益社団法人、一般社団法人のいずれを選択したとしても生じる問題ですので、特に公益社団法人に移行することによって負担が重くなるものではありません。
A7)平成23年以降、申請件数が増大することが予想されるので、認定までに時間がかかることが懸念されます。その前に申請ができるよう、次回平成22年の総会で決議し、同年度中の申請を検討しているものです。
A8)手続的には可能ですが、一般社団法人に移行する事務作業と公益認定の事務作業の両方が必要となるので、複数の手続きを行うことは時間的にも費用的にも得策とはいえないと考えます。
A9)公益社団法人への移行を機に増額することは考えていません。公益社団法人になることにより、当学会へ寄附される個人や企業が税制上の優遇を受けることができるので、むしろ今後、寄附金の増加による収入の増加も見込めると考えます。
A10)研究技術懇談会も、当学会の組織を構成する以上、会計上の合算を行う必要があります。会計の合算に関しては、従来の本部のみの会計報告から、支部、専門委員会と順次拡大してきた経緯があります。
参考
公益法人インフォメーション(国・都道府県公式 公益法人行政総合情報サイト)
公益認定ガイドライン(公益目的事業の一覧)
「法令・ガイドライン等」→「公益認定等ガイドライン」の最終貢
「よくある質問(FAQ)」
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